うつ発症の引き金を引いたのは?~鬱(うつ)・躁鬱(そううつ)=双極性障害・適応障害・統合失調症など精神疾患による休職・退職や、引きこもりから復活した人の経験をお伝えするコラム「当事者目線」 ケースNo.1・第3回 発症直前の様子
第1回 経歴と先天的な性格(前編)はこちら
第2回 経歴と先天的な性格(後編)はこちら
はじめに
自然、農の力でメンタルヘルス(心の健康)を取り戻す・Regain(リゲイン)の萩原です。
メンタルヘルス不調は、誰にでも起こり得る問題です。
しかしメンタルヘルス不調を原因として引き起こされる精神障害や精神疾患は、多くの人にとってネガティブなイメージがあり、直面した当事者が自分の障害を受け入れることは困難です。
その結果、精神的につらい状況を抱え込み、誰にも相談できずに苦しむことになります。
このコラムでは、就労中に鬱(うつ)病や双極性障害、適応障害、統合失調症などの病気を発症し、そこから回復を果たした当事者の声をお届けします。
彼らの経験談が、同じような状況に陥って悩んでいる方々の参考となり、助け合いの輪が広がることを願っています。
ケースNo1.Yさん:50歳男性。就業中に鬱(うつ)、躁鬱(そううつ)を経験。休職からの復職経験あり。
萩原:第3回では、発症直前の状況や生活環境、発症のきっかけについてお伺いします。
Yさん:承知しました。
起業の経緯
萩原:前回の続きとして、大学を卒業して起業に踏み切ったところからお話しいただけますか?
Yさん:はい。もともと関心があったのは子どもの教育でした。自分なりの合格メソッドにこだわりがあったため、23歳で進学塾を起業しました。
萩原:有名校に合格したご自身の成功体験をもとに、進学塾の経営者としてエネルギッシュに働いていた姿が目に浮かびます。
Yさん:興味のあることを学ぶのが好きで、子どもたちに価値を届けて希望校に合格させることが何より大事でした。
仕事ができていれば外見はどうでもいい、と親御様との面談にサンダル履きで臨むような若気の至りもありました。
思い出深いのは、指導方針が専門誌で紹介されたことです。
経営の困難とプレッシャー
しかし、2000年代に入ると競争が激化し、2010年以降はオンライン授業の普及で経営が厳しくなりました。売上が立たず、社員の給料の支払いが遅延することも経験しました。
萩原:若手の塾経営者という表の顔の裏では、かなりのプレッシャーがかかっていたのですね。それが30代で鬱(うつ)を発症した背景だったのでしょうか?
Yさん:そうですね。ダメ押しとなったのは、同年代で同じ大学出身のIT企業社長が成功したニュースでした。彼と自分を比較し、自分の至らなさを自覚して落ち込み、負のスパイラルに陥りました。
萩原:なるほどです。次回は、そのような状況でYさんの心身にどんな変化が起こったのか、精神疾患発症の実情をお伺いできればと思います。本日はありがとうございました。
ディスクレーマー(免責事項)
- 当事者のプライバシー保護のため、当事者の属性(基本情報)を一部変更しています。変更した内容はフィクションですが、障害に関することや当事者が感じたことについての記載は、事実及び、当事者からのヒアリングに基づくものです。
- 執筆者は医師ではなく、医療行為や医療行為に関するアドバイスを提供するものではありません。
- 症状に対する対処法は当事者の選択であり、他のケースに当てはまるとは限りません。
わたしたちRegainについて
Regainは、主に就労中のストレスにより心の健康を失った人が、野菜作りを通じて傷ついた心をいやし、本来の自分らしさを取り戻すサポートを行う団体です。
自然に触れて野菜を育てることで、傷ついた心をいやしていきながら、本当に自分がやりたいことや、働き方・生き方を見つめ直すきっかけになるような場所を作っていきます。
毎週、藤沢市葛原の畑で活動しています。お気軽に見学・体験(いずれも無料)にお越し下さい。申し込みは下記のWebサイトから。どうぞ、よろしくお願いします。