うつ病の診断はどのように下されるのか?鬱(うつ)・躁鬱(そううつ)=双極性障害・適応障害・統合失調症など精神疾患による休職・退職や、引きこもりから復活した人の経験をお伝えするコラム「当事者目線」 ケースNo.1・第5回 急性期の実情(後編)
第1回 経歴と先天的な性格(前編)はこちら
第2回 経歴と先天的な性格(後編)はこちら
第3回 発症直前の様子 はこちら
第4回 急性期の実情(前編)はこちら
はじめに
自然、農の力でメンタルヘルス(心の健康)を取り戻す・Regain(リゲイン)の萩原です。
メンタルヘルス不調は、誰にでも起こり得る問題です。
しかしメンタルヘルス不調を原因として引き起こされる精神障害や精神疾患は、多くの人にとってネガティブなイメージがあり、直面した当事者が自分の障害を受け入れることは困難です。
その結果、精神的につらい状況を抱え込み、誰にも相談できずに苦しむことになります。
このコラムでは、就労中に鬱(うつ)病や双極性障害、適応障害、統合失調症などの病気を発症し、そこから回復を果たした当事者の声をお届けします。
彼らの経験談が、同じような状況に陥って悩んでいる方々の参考となり、助け合いの輪が広がることを願っています。
ケースNo1.Yさん:50歳男性。就業中に鬱(うつ)、躁鬱(そううつ)を経験。休職からの復職経験あり。
初診の様子
萩原:当時のYさんの不安定な様子が伝わってきます。初めて診察を受けた日のことは覚えていますか?
Yさん:はい。「もうこの世の終わり」という気持ちで病院に行きました。実際は問診が終わった後、薬を出されて「それではお大事に」という感じでした。入院もありえると思っていましたが、予想よりあっさりしていて、重くとらえてもらえなかったことに複雑な気持ちになりました。結局、大丈夫なのか病気なのか、どちらかに気持ちが落ち着くことなく帰宅しました。
周囲の反応
萩原:会社のメンバーや奥様はどんな反応でしたか?
Yさん:長い付き合いもあり、うっすらと気づいていたのかもしれません。特に驚かれた記憶はなく、妻からも何か言われた覚えはありません。ただ、自分のことで精一杯で、周りの反応が見えていなかっただけかもしれません。
生活の変化
萩原:安静にすると言っても、ずっと眠り続けるわけではないですよね?
Yさん:健康な人には理解しづらいかもしれません。眠り続けるわけではないですが、起き上がって活動することができず、ただ座っているのもつらいので、横になっているしかない感じです。
寝てると外が昼になって明るくなるわけですが、それを見て「みんな今は働いてるんだなあ」と思ったり、それをしなくてすむことに安堵したり。
昼夜逆転気味で家に引きこもる生活に少し慣れたときには、診断から2~3ヵ月が経過していました。
萩原:大変な状況についてお話いただき、ありがとうございました。次回は回復期の取り組みについてお伺いします。
ディスクレーマー(免責事項)
- 当事者のプライバシー保護のため、当事者の属性(基本情報)を一部変更しています。変更した内容はフィクションですが、障害に関することや当事者が感じたことについての記載は、事実及び、当事者からのヒアリングに基づくものです。
- 執筆者は医師ではなく、医療行為や医療行為に関するアドバイスを提供するものではありません。
- 症状に対する対処法は当事者の選択であり、他のケースに当てはまるとは限りません。
わたしたちRegainについて
Regainは、主に就労中のストレスにより心の健康を失った人が、野菜作りを通じて傷ついた心をいやし、本来の自分らしさを取り戻すサポートを行う団体です。
自然に触れて野菜を育てることで、傷ついた心をいやしていきながら、本当に自分がやりたいことや、働き方・生き方を見つめ直すきっかけになるような場所を作っていきます。
毎週、藤沢市葛原の畑で活動しています。お気軽に見学・体験(いずれも無料)にお越し下さい。申し込みは下記のWebサイトから。どうぞ、よろしくお願いします。