精神科の薬を飲むとどんな感じになる?鬱(うつ)・躁鬱(そううつ)=双極性障害・適応障害・統合失調症など精神疾患による休職・退職や、引きこもりから復活した人の経験をお伝えするコラム「当事者目線」 ケースNo.1・第6回 回復期の取組(前編)
第1回 経歴と先天的な性格(前編)はこちら
第2回 経歴と先天的な性格(後編)はこちら
第3回 発症直前の様子 はこちら
第4回 急性期の実情(前編)はこちら
第5回 急性期の実情(後編)はこちら
はじめに
自然、農の力でメンタルヘルス(心の健康)を取り戻す・Regain(リゲイン)の萩原です。
メンタルヘルス不調は、誰にでも起こり得る問題です。
しかしメンタルヘルス不調を原因として引き起こされる精神障害や精神疾患は、多くの人にとってネガティブなイメージがあり、直面した当事者が自分の障害を受け入れることは困難です。
その結果、精神的につらい状況を抱え込み、誰にも相談できずに苦しむことになります。
このコラムでは、就労中に鬱(うつ)病や双極性障害、適応障害、統合失調症などの病気を発症し、そこから回復を果たした当事者の声をお届けします。
彼らの経験談が、同じような状況に陥って悩んでいる方々の参考となり、助け合いの輪が広がることを願っています。
ケースNo1.Yさん:50歳男性。就業中に鬱(うつ)、躁鬱(そううつ)を経験。休職からの復職経験あり。
萩原:第6回、第7回では、「回復期の取組」として、服薬(薬物療法)やカウンセリング等の心理療法について伺っていきます。
服薬の苦労
Yさん:精神薬は急性期(診断直後)から処方されます。最初のころに何を処方されていたかは覚えていませんが、眠気が出たり、歯を食いしばらないといけなくなったりしました。
萩原:歯を食いしばらないといけないとは?
Yさん:たぶんジスキネジアという症状だと思います。普通にしていると気持ち悪くて、口をイーってすると落ち着く感じです。
萩原:なるほど、実際に服薬した人でないとわからない感覚ですね。
服薬の効果
萩原:服薬の効果を実感することはできましたか?
Yさん:症状が少しずつ落ち着くことはあるかもしれませんが、そこまで客観的に自分を見れていません。薬が効いている実感もあまりありませんが、劇的な変化があるものでもないと思うので、「効かないから止める」はしない方が良いと思っています。薬は脳に作用する、つまり主観に作用するので自分ではよくわからない。だから医者に客観的に診てもらいます。
ただ、眠れないときに睡眠薬を飲み忘れていることがあり、飲むと眠れるので「薬が効いているんだなあ」と思うと同時に、「もう薬なしでは生きられないんだなあ」とも思います。
服薬の調整
萩原:効果に応じて服薬の変更を行うのでしょうか?
Yさん:はい、いろいろ試して調整するのが大変でした。
病院に行く前は薬を飲むということについてあまり考えたことはなかったんですが、行ったら行ったで「早く治してくれ」みたいな気持ちになり、いつになったら処方が落ち着くんだろうと途方に暮れてました。でも相手はプロだという信頼感はあり、医者に言われたことを受け入れて試していきました。
あるとき、新しい薬を試そうという話になり、帰省で飛行機に乗ることを伝えたところ、通常の環境じゃないときに新しい薬を試すのはやめようとなりました。新しい薬を飲んだら楽になるんじゃないかと思っていたので、すごく悲しい気持ちになった覚えがあります。
萩原:服薬に関する貴重なお話をありがとうございました。次回は、カウンセリング等の心理療法についてお伺いします(後編に続く)。
ディスクレーマー(免責事項)
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- 執筆者は医師ではなく、医療行為や医療行為に関するアドバイスを提供するものではありません。
- 症状に対する対処法は当事者の選択であり、他のケースに当てはまるとは限りません。
わたしたちRegainについて
Regainは、主に就労中のストレスにより心の健康を失った人が、野菜作りを通じて傷ついた心をいやし、本来の自分らしさを取り戻すサポートを行う団体です。
自然に触れて野菜を育てることで、傷ついた心をいやしていきながら、本当に自分がやりたいことや、働き方・生き方を見つめ直すきっかけになるような場所を作っていきます。
毎週、藤沢市葛原の畑で活動しています。お気軽に見学・体験(いずれも無料)にお越し下さい。申し込みは下記のWebサイトから。どうぞ、よろしくお願いします。