カウンセリングはコスパが高いのか?鬱(うつ)・躁鬱(そううつ)=双極性障害・適応障害・統合失調症など精神疾患による休職・退職や、引きこもりから復活した人の経験をお伝えするコラム「当事者目線」 ケースNo.1・第7回 回復期の取組(後編)
第1回 経歴と先天的な性格(前編)はこちら
第2回 経歴と先天的な性格(後編)はこちら
第3回 発症直前の様子 はこちら
第4回 急性期の実情(前編)はこちら
第5回 急性期の実情(後編)はこちら
第6回 回復期の取組(前編)はこちら
はじめに
自然、農の力でメンタルヘルス(心の健康)を取り戻す・Regain(リゲイン)の萩原です。
メンタルヘルス不調は、誰にでも起こり得る問題です。
しかしメンタルヘルス不調を原因として引き起こされる精神障害や精神疾患は、多くの人にとってネガティブなイメージがあり、直面した当事者が自分の障害を受け入れることは困難です。
その結果、精神的につらい状況を抱え込み、誰にも相談できずに苦しむことになります。
このコラムでは、就労中に鬱(うつ)病や双極性障害、適応障害、統合失調症などの病気を発症し、そこから回復を果たした当事者の声をお届けします。
彼らの経験談が、同じような状況に陥って悩んでいる方々の参考となり、助け合いの輪が広がることを願っています。
ケースNo1.Yさん:50歳男性。就業中に鬱(うつ)、躁鬱(そううつ)を経験。休職からの復職経験あり。
医師との関係
萩原:服薬について様々な複雑な思いがあることがわかりました。続いて、医師との関係について伺います。指示に盲目的に従うのではなく、協力関係を築くイメージでしょうか?
Yさん:協力関係がないわけではありませんが、あまりそのイメージではないですね。今ふと浮かんだのは、翻弄されている感じです。猛獣使いと猛獣というか。言葉ほどひどく思ってはいませんし、信頼はしていますが、情報の非対称性という意味で、対等な「協力関係」とは言い難いです。
萩原:「猛獣使いと猛獣」とは刺激的な表現ですが、医師と患者の関係について、患者側の印象がよく伝わってきました。
Yさん:はい。医者に言われたことをいろいろ試しました。まず、労働時間を制限しました。13時くらいに仕事を切り上げたり。
また、人と会うのが好きなのですが、人と会うのはエネルギーがいるということで会う量を減らすように言われました。しかし、逆に元気がなくなり、気分が低調になることが増えました。今も休みの日にずっと寝ていると気持ちが落ちるので、朝は必ずマクドナルドに行くようにしています。
心理療法
萩原:試行錯誤の末に、自分に合ったセルフケアを確立されたのですね。セルフケアについては次回で詳しくお伺いできればと思います。薬物療法により最悪期を脱した後は、心理療法を追加したのでしょうか?
Yさん:はい。医者からカウンセリングを勧められたり、カウンセラーを紹介されたわけではありませんが、本当につらかったときに、誰かに話を聴いてもらわないと爆発してしまいそうで、医者の診療とは別にカウンセリングを受けました。費用は高かったですが、やむを得ない選択でした。その後、転院した病院では、保険診療で割安にカウンセリングを受けることができました。
カウンセリングの効果
萩原:カウンセリングの内容と効果について教えてください。
Yさん:信頼できる人、そして聴くことのプロに話すことにより自分の考えが整理できる、というのが一般的なカウンセリングのイメージかと思いますが、自分にとっては、「世界に自分の話相手になってくれる人がひとり増えて嬉しい」という感じです。結果として、思考が整理されることはありますけど。
カウンセラーによって聴き方が違うので戸惑いましたが、対話になるタイプと、こちらから話が出るのを待つタイプがいました。後者は正直嫌でしたね。
萩原:カウンセリングについての実情がよく理解できました。次回は職場復帰後の再発予防をテーマにお伺いします。本日はありがとうございました。
ディスクレーマー(免責事項)
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- 執筆者は医師ではなく、医療行為や医療行為に関するアドバイスを提供するものではありません。
- 症状に対する対処法は当事者の選択であり、他のケースに当てはまるとは限りません。
わたしたちRegainについて
Regainは、主に就労中のストレスにより心の健康を失った人が、野菜作りを通じて傷ついた心をいやし、本来の自分らしさを取り戻すサポートを行う団体です。
自然に触れて野菜を育てることで、傷ついた心をいやしていきながら、本当に自分がやりたいことや、働き方・生き方を見つめ直すきっかけになるような場所を作っていきます。
毎週、藤沢市葛原の畑で活動しています。お気軽に見学・体験(いずれも無料)にお越し下さい。申し込みは下記のWebサイトから。どうぞ、よろしくお願いします。